ある夏の日。アメリカから来た12歳のコヴァスは、初めて母の故郷であるリトアニアを訪れる。母ヴィクトリアは、離婚をきっかけに、かつて暮らしていた土地を取り戻し、息子とともに新しい生活を始めようとしていた。新しい国として歩み始めたリトアニア。人の気配がまばらな街並み、やけに大きく感じられる空。眩しい日差しが降り注ぐなかで、コヴァスの目に映る景色は、見慣れない光景だった。両親の離婚からまだ立ち直れていないコヴァスは、この夏休みで気持ちを紛らわせたいと思っていた。お菓子を手に、ほんの少し背伸びをするように歳の近い子どもたちの輪に入ろうとするが、一歩引いてしまい、うまく馴染めない。そんななか、ふたりはヴィクトリアの昔からの友人ロマスと、その娘マリアと会うことに。コヴァスは、ヴィクトリアとロマスの仲の良さがどこか気になりながら、マリアと過ごす時間が日常の一部になっていく。そのころ、ヴィクトリアが取り戻そうとしている昔の家には、別の家族が暮らしていることを知る。噛み合わないまま話を続ける大人たちを、コヴァスはただ見ていることしかできない。少しずつ、これまで知らなかった母の秘めた一面と、その故郷リトアニアに息づく時間に触れていく。この夏、コヴァスはまだ見ぬ世界に出会う――。