香港島から南西へ、船で30分ほど行ったところにある、小さな島・長洲。島のなかには、いくつもの細い路地が走り、車の姿はない。港には色とりどりの船が浮かび、漁村としても知られる穏やかな時間が流れている。そんな島にある一軒の食堂。連日、この島で暮らす人びとが行き交い、にぎわいに満ちている。島民たちは集まれば、ビールを片手にトランプやマージャンを嗜む。しかし、社会の変化、活発な市民の熱気は、香港島から離れた周縁の島にも伝わり、食堂に集う常連客たちも、無関心ではいられない。テレビをじっとみつめる店主。懸命に情報を追う若者たち。それぞれの立場、それぞれの距離感で時代のうねりを受け止めていく。やがて世界を覆ったパンデミックは、この小さな食堂にも大きな影響をもたらしていく――。