中国・新疆(しんきょう)ウイグル地区の静かな村。広大な草原と澄んだ空の下で暮らすのは、植物をこよなく愛するカザフ族の少年アルシン。草花の名を覚え、葉のささやきに耳を澄ます彼は、誰ともなく“植物学者(ボタニスト)”と呼ばれている。祖母と兄との穏やかな日々のなか、森羅万象、植物や精霊のささやき、言葉を話す馬や失踪した叔父の記憶に導かれ、現実と幻想が溶け合う不思議な世界を生きていた。そんな彼の前に現れたのは、漢民族の少女メイユー。文化も言葉も異なるふたりの間に芽生えた淡い恋が、少年の心に新たな感情を呼び覚ます。しかし、静かな村には少しずつ変化の兆しが忍び寄っていた。雄大な自然美と詩的な映像、響き合う音楽が、観る者を静かな感動へと誘う。