異能者ひしめく混沌都市、ヨコハマ。貧民街の路地をねぐらに生きる孤児の芥川龍之介は、妹の銀と仲間たちとともに溝底を這い、明日をも知れぬ日々を生きていた。だが、感情を持たない「心なき狗」と呼ばれた彼の瞳に〝憎悪〟が宿った日――運命が動き出す。それから、4年後。川岸で餓死しかけていたところを拾われた芥川は「武装探偵社」で働きはじめる。そこへあらわれたのは、組織に敵対する者を無慈悲に屠る「ポートマフィアの白い死神」中島敦。首領からの命令を受けてやってきた敦が持つ封筒には、芥川が行方を探す銀の写真が入っていた……。
運命のわかれ道で差し出された手に翻弄されたふたりの少年、その邂逅の先に待つものとは——。