LGBTQ+の活動や表現が法律で禁じられているロシアに突如現れたクィア・アーティスト、 21歳のジェナ・マービン。 首都モスクワから約10,000キロ離れた極寒の町で祖父母に育てられたジェナは、 幼い頃から自身がクィアであると認識しており、 小さな町ではその存在が暴力の標的となった。 ロシアでは LGBTQ+は「存在しないもの」とされ、 その当事者たちは日々、差別と抑圧にさらされている。 その痛みとトラウマを、 ジェナはアートへと変えた。 スキンヘッドにハイヒール、 身体を締め上げるテープや有刺鉄線をまとい、 “静かな叫び”として無言のパフォーマンスを街に放つ。やがて、 ロシアによるウクライナ侵攻が勃発。 反戦デモに参加したジェナは逮捕され、 徴兵の危機にさらされる。 逮捕、 嫌がらせ、 社会からの排除──。 それら全てを背負い、 恐怖と絶望を超えた孤高のクイーンが誕生する。 これは、 痛みと美しさを纏ったひとりのアーティストによる、 命をかけた表現の記録。