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文政十二年、江戸。武家の妻・良乃は、蟄居ちっきょ(謹慎)を命じられた直参旗本である夫・古田久蔵と、幼い息子・駒之助とともに静かに暮らしていた。ある日、旧友・江藤伝兵衛が残した一首の歌が、彼女の平穏を切り裂く。「夏の世の 夢路儚き もののふの 晴れて行方の 西の雲の端」それは、久蔵の沙汰が切腹であるという知らせだった。残された時間で、妻として何ができるのか。久蔵の誇りを守り、息子の未来をつなぐため、良乃は静かに覚悟を決める。命運の夜、彼女が選んだ道とは――。