坂東玉三郎が演じる、強く・美しい二人の女性の物語
「沓手鳥孤城落月」
大坂夏の陣、大阪城は徳川家康に攻められ落城寸前であった。大阪方の大将・秀頼の母・淀の方は、秀頼に嫁いだ家康の孫・千姫が城から連れ出されようとするところに出くわし毅然と阻止する。そんな中、いよいよ徳川方の軍勢が間近に迫り、城内は炎に包まれ乱戦となる。糒庫(ほしいぐら)へと避難した淀の方は、千姫が混乱に乗じて城から逃げ出したことを知り、怒りのあまり錯乱してしまう。
正気を失った母の姿を見た秀頼は、母を殺して自害しようとするが、豊臣家のために降伏するよう勧められ、涙ながらに開城を決意するのだった。
落城の混乱の中においてもつらぬかれる母子の愛を綴る坪内逍遙の名作にご期待ください。
「楊貴妃」
中国の唐の時代、亡くなった楊貴妃への思いが忘れられない玄宗皇帝は、楊貴妃の魂を探すように方士に命じた。方士が蓬莱山の宮殿で楊貴妃の魂を呼び出すと、在りし日の美しい姿で現れる。楊貴妃は永遠の愛を誓い合った皇帝との思い出の数々を思い返しながら舞うのだった。
人気作家・夢枕獏が坂東玉三郎のために書き下ろした夢幻の境地へ誘う美しい舞踊をご堪能ください。