よく晴れた日の午後に、1台のトレーラーが起こした脱輪事故。整備不良を疑われた運送会社社長・赤松徳郎は、警察で信じられないことを聞く。
突然タイヤが外れた、と。
港北中央署刑事の高幡らに整備不良を疑われ、世間やマスコミ、銀行からもからバッシングをされる毎日。自暴自棄になりながらも、赤松運送の専務・宮代直吉、整備士・門田駿一や妻・史絵の支えもあり、独自の調査を開始した赤松は、車両の構造そのものに欠陥があるのではないかと気づき、製造元の大手自動車会社・ホープ自動車へ再調査を要求する。
一方、ホープ自動車カスタマー戦略課課長・沢田悠太は、再三にわたる赤松の要求を疎ましく想いながらも、同僚の小牧重道や杉本元と調査を進めていく内に、社内でひた隠しにされる真実の存在を知る。
同じ頃、ホープ銀行の本店営業本部・井崎一亮は、週刊潮流の記者・榎本優子より、グループ会社であるホープ自動車について探りを入れられ、その杜撰な経営計画と、ある噂について疑問を抱く。
それぞれが辿りついた先にあった真実は、大企業の“リコール隠し”─
過去にも行われていたそれは、二度とあってはならないことだった。
その真実の前に立ちはだかる、ホープ自動車常務取締役・狩野威。
果たしてそれは事故なのか事件なのか。男たちは大企業にどう立ち向かっていくのか。正義とはなにか、守るべきものはなにか。
累計発行部数170万部を突破した池井戸潤による大ベストセラー「空飛ぶタイヤ」。第136回直木賞候補作となり、池井戸潤自ら「ぼくはこの物語から『ひとを描く』という小説の根幹を学んだ」、という程に思い入れのある原作「空飛ぶタイヤ」の映画化に、長瀬智也、ディーン・フジオカ、高橋一生をはじめとする、日本を代表するオールスターキャストが大集結!